サイコミで連載中の「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」の感想です。
一時期(現在も?)、色々なウェブサイトやYouTube等の広告でよく見た作品なので興味を持った人もいるのではないでしょうか。
私も広告を見て興味を持った一人です。
少し試しに・・・、と気軽に読んで見たところ一気読みしたくなりコミックスを購入してしまいました。
サイコミ人気ランキングで上位なだけあり、かなり面白い漫画です。
TSUYOSHI あらすじ
全日本大学空手道選手権で悲願の優勝を果たし、表彰されている星崎愛之助は悄然としていた。
ライバルの夢丘照が選手権に出場していなかったからである。
1年ぶりに再会した照は空手を辞めてしまっていた。
ある男と立ち合い、完膚なきまでに叩きのめされたのだという。
その心も折れるほどに。
ある男の名は川端強。
愛之助は強に挑戦するため立川市にあるコンビニへ向かう。
強はコンビニの店員であった。
立ち合いを求める愛之助に強は言う。
「戦うのは一度だけでお願いします。
二度はありません。
戦う場所は人目のつかない場所で。
それと、たとえ僕に負けても口外するのはやめてください。」
TSUYOSHI キャラクター
川端強:かわばた つよし
東京都立川市のコンビニでアルバイトをする22歳の浪人生。
画家になるという夢を持ち、美大にいくために絵を描くことに多くの時間を費やすが、努力の甲斐なく上達しない。
5歳から太極拳を始め、現在は週三日太極拳教室の講師を務めている。
その強さの秘密は謎に包まれており、数多の格闘家の挑戦を受けるがその全てを打ち破る。
見た目は大人になったのび太。若しくは銀魂の新八。
陳神美:チン シェンメイ
日本語を勉強するために中国から留学してきたツインお団子。
強と同じコンビニでアルバイトをしており、シフトが重なることが多い。
よくコンビニの商品のナゲットをつまみ食いしている。
ただの残念美人かと思いきや・・・。
星崎愛之助:ほしざき あいのすけ
全国空手道選手権優勝者 段位は六段
質実剛健な正に空手家といった風貌。
空手のライバルであった照が勝負に敗れたという話を聞き、ツヨシに挑戦する。
夢丘照:ゆめおか てる
ツヨシに完膚なきまでの敗北をし、心が折れてしまい空手を辞めアイドルオタクとなる。
かつてはイケメンであったが、空手を辞めてから急激に太ってしまい面影はなくなっている。
しかし、空手の腕前は衰えておらず武道の達人と互角に立ち回る。
TSUYOSHI 感想
タイトルやあらすじなどから、なろう系などに多い「俺TUEEE系」なのかと思っていました。
そのように考える人は少なからずいるのではないでしょうか。
しかし読んで見ると、どうやら単なる俺TUEEÉ系ではないと思いなおします。
そもそも俺TUEEE系とはなんなのか。
定義としては
俺TUEE
「異世界転生もの」や「VRMMOもの」で圧倒的に強い主人公が特にピンチに陥ることもなく並み居る敵を蹴散らし続け、周囲からも手放しに賞賛され、複数の異性から好意を寄せられるという作品が時たま見られる。
このような作品を揶揄して「俺TUEEE系小説」とジャンル付けをすることがある。カクヨム等の小説投稿サイトでも同様事例があるが、なろう程に多い訳ではない。
創作における使われ方としてはメアリー・スーとほぼ同じと考えてよい。
その他にも厨設定、主人公補正、ご都合主義など類語が多数存在し、どれも「最強な主人公」や「主人公が活躍する展開」に対する揶揄として使われる。
このようなものだそうです。
ちなみにメアリー・スーとはスタートレックの二次創作小説に登場するオリジナルヒロインとのこと。
簡単に言うと、非現実的で思春期の少年少女の願望を具現化したようなオリジナルキャラクターのことだそうです。
※メアリー・スーについて詳しくはこちらから
本作はこの条件には当てはまらないと個人的に思っています。
以下からその理由と、少し踏み込んだ感想を書いていきます。
誰も勝てない、人類最強の男
空手選手権で愛之助はライバルである照と戦いたかったのですが、なぜか大会に出場していませんでした。
どうして大会にでなかったのか問いただす愛之助に、空手は辞めたと答える照。
辞めた原因は川端強という男に敗れ、自分が積み上げきた努力がなんの意味もないと悟ったためだといいます。
単純に空手家として強者と戦いたかったのか、照を倒した男に興味をもったのか、あるいは照の敵をとりたかったのか。
理由は想像することしかできませんが愛之助はツヨシのもとを訪れます。
ここから主に愛之助の目線でツヨシの強さの秘密を追う形で物語が進行していきます。
1話目での最初の格闘であるコンビニでの不良を撃退する場面を目の当たりにした愛之助。
そのときの戦いかたから、中国拳法の使い手なのではと考えます。
ツヨシの戦いかたは筋力に頼ったものではなく、氣という筋力ではないエネルギーを力として放出しているとのことです。
氣とは、主に発勁と呼ばれる力のことです。
発勁
武術(中国の武術以外にも気は存在する)における「気」とは、体の「伸筋の力」、「張る力」、「重心移動の力」などを指し、超常のものではない。
出典:Wikipedia 発勁
大国に目をつけられる男
日々挑戦され撃退していくことを繰り返すうちにその名は広まっていきます。
そして、中国政府に目をつけられることになるのです。
詳しい経緯は諸事情により省きますが、中国拳法が廃れるのも時間の問題と見た中国武術省が諜報員を世界中に派遣しています。
その諜報員がシェンメイです。
ツヨシの強さ、何者なのかを調べるために中国から来たとのことです。
つまり、ツヨシはたった一人で大国を動かすほどの強さをもっているということになります。
中国武術を管理している公的機関である。 世界にいる名だたる中国拳法使いを探すために諜報員を派遣している。
ツヨシと仲良くなるよう同じバイトをし、ラインも毎日送り、二人で遊びにいく・・・。
そんなシェンメイに好意をもっていくツヨシ。
ツヨシは強いことを除けばごく普通の男性ですから無理もありません。
しかし、そんなツヨシの想いと裏腹に、裏で格闘家をぶつけてツヨシの調査を進めるシェンメイ・・・。
切ない・・・。
でも、なぜかシェンメイが憎めないのはそのキャラクターのおかげなのでしょうか。
シェンメイの調査
この段落では作中でシェンメイが調べたという事実をまとめました。
シェンメイが日本にきて半年でツヨシに決闘を申し込んだものは92人(愛之助含む)とのこと。
※ざっくり半年を180日とすれば2日に1度は誰かに喧嘩を売られているという計算になる。
92人の中にはかなりの使い手もいたが、勝てたものはおろか、攻撃を当てられてたものもほとんどいない。
中国の数多の格闘家もツヨシに勝てない。
だから政府も目をつけている。
この恐ろしいほどの実戦経験がツヨシの実力をさらに底上げしていることは想像に難くない。
そして、ツヨシの強さの起源を探っていくと・・・。
ツヨシの実家はキックボクシングのジムを営んでいたが、5歳の頃閉鎖。
ちょうどそのころからツヨシは太極拳を学び始める。
中国では太極拳は草の根レベルで知られる伝統武術であり、極めればものすごい力を持つと言われている。
とはいえ、ツヨシは武術として本格的に訓練したわけではなく、公園で行っている週3日の太極拳教室での体操を行っているのみである。
現在の調査結果からは、ツヨシは天才だとしか説明のしようがない。
ツヨシに近づきたい愛之助
ツヨシと戦い圧倒的実力差で敗れた愛之助は照とは逆に強さの秘密を知りたくなってしまいます。
そして弟子入りを志願し、ツヨシのコンビニを訪れます。
しかし、ツヨシは完全に迷惑顔です。
ツヨシは武術に興味がなく、画家になりたいという夢があるからです。
ですが、ツヨシの絵の才能は武術ほどにはないようです。
美大に入りたいのですが、デッサンが苦手で4浪しています。
これを知った愛之助はツヨシにデッサンを教えることになります。
意外なことに愛之助は美大生なのです。
デッサンを教えていく過程で愛之助は徐々にツヨシの事情を知っていくことになります。
色々な人に絡まれて撃退していくうちに日々挑戦される身になってしまったこと。
ツヨシに近づいてくる人も戦うことが目的の人たちばかりで信用できる人もほとんどいないこと。
ただ強いというだけで毎日誰かにつけ狙われ、気を抜くことができない日々を送っていること。
本当は戦いたくない、ただ絵を描いていたいだけということ。
こうして愛之助は自分がしていることの残酷さを知るのです。
中国四拳勢来日
中国四拳勢とはシェンメイが選抜した中国拳法の精鋭たちのことです。
ツヨシの強さを知るために本国から呼び寄せたのです。
事情を知った愛之助もツヨシ側で戦います。
以下に四拳勢の流派・異名・名前をまとめました。
北派の獅子
劉晟:リュウ・シェン
鋼の覇王
万雲雕:バン・ウンチョウ
内なる羅刹
巌楼嵐:ゲン・ロウラン
破砕のローズ
呂志飛:リョ・ジーフェイ
中国四拳勢が使う武術について
こちらでは中国四拳勢が使う流派についてまとめました。
ツヨシはゲン・ロウランと同じ太極拳の使い手です。
また、私は知らなかったのですが少林拳と少林寺拳法は別ものなのだそうです。
少林拳
その創始者は、伝説及び近年の文献によると禅宗の開祖の達磨大師とされているが、学術的な根拠に乏しい。ただし、明代の嵩山少林寺で武術が練習されていたことは、程宗猷の『少林棍法闡宗』など幾つかの資料に記録されている。
この嵩山少林寺とは別に、かつて中国南部の福建省には南少林寺(福建少林寺)が存在したとされ、南少林寺を起源とする武術は南派少林拳と呼ばれている。しかし、武術史研究家の唐豪の研究などにより、南少林寺は伝説上の存在であったとする意見が有力である(武侠小説や近代に編纂された書『少林拳術秘訣』(尊我斎主人著)などで流布されたとする)。
少林拳自体の最困難期は、義和団の乱後の武術禁止時期と中華民国民主化期、そして文化大革命期にあたる。古典的な伝統武術は、時代遅れと見なされていた時期でもあった。
近年になって南少林寺に関しての古文書が嵩山少林寺から発見され、それを元に福建省の九連山で発掘調査を行うと明代の大規模な寺院の遺跡が見つかるなど、定説が覆されつつあると報じられているが、その真実の解明については今後の研究が待たれる(現在、福建省泉州市に存在する南少林寺は新たに建立されたものである)。
日本では少林拳と少林寺拳法が混同されるが、無関係である。少林寺拳法は義和拳・梅花拳・白蓮拳等を継承して今日までに至っているとされる。
洪家拳
船の上で戦う事を想定したという低い姿勢(空手の騎馬立ちに近い)で闘う南派少林拳の伝統通り、腰を落とした姿勢からの力強い動作が特徴である。
呼吸法に特徴があり笑い声の様な発声法(インドのラフタ・ヨガに似ている?)も存在する。 また、即効性と実戦性が高いことから、清朝末期の反政府(反清復明)秘密結社・三合会の間で広まった。陸亞采を創始者とする伝説が有名であり、武侠小説や映画にも度々取り上げられた。また洪家門の伝承者・林世栄は香港に移住後、武館を開き洪拳門の一派、虎鶴門を開き広く世に伝えた。
南派少林拳ルーツとされる福建少林寺伝来の拳として五形拳(五種の動物の型)があり、洪家拳はその中の虎と鶴の拳を基にして作られたとする説(いわゆる洪熙官伝説の一つ)がある。実際には現在各派で練習されている五形拳は近代に編まれたものである。
洪家拳は広東省五大名拳(南派五大名家、洪家拳、劉家拳、李家拳、蔡家拳、莫家拳)の首であるとされ、中国での洪家拳のイメージは、歴史上の正義の英雄が愛用した拳、革命闘士達の拳として、良いイメージで語られることが多い。
太極拳
武術・戦闘術として継承されてきた太極拳は『伝統拳』と呼ばれる。
しかし、近年では伝統拳を参照元にした制定拳も存在するために、混同を避ける目的で『民間の太極拳』という表現も使われることがある。
基本功に始まって、套路、推手、散手と進むのが一般的な流れで、これによってそれぞれの門派における太極拳の技法を習得する。套路は緩やかで流れるようにゆったりとした動きで行うことで、正しい姿勢や体の運用法、様々な戦闘技術を身に着ける。
しかし実際の戦闘における動作はゆっくりしたものではなく、熟練者においてはむしろ俊敏で力強いものとなる。なお、套路の中でも“快架”と呼ばれる速い動きのものもあり、“快架”との対比でゆったりした動きの套路は“慢架”と表現する場合がある。
また、推手の練習では、套路の正しさや・相手と適切な接触を保つ技術(粘連黏随)・相手を感じる能力(聴勁)など武術・戦闘術としての理解度を深めることができる。
昔から推手と套路は車の両輪と言われ、実は推手をやらなければ太極拳は本当の意味で理解できないと言われている。
八極拳
八極拳は、敵と極めて接近した間合いで戦うことを得意とする拳である。
八極拳の風格は中国において「陸の船」とも形容され、歩法の運用も細密なため、他派と比べて比較的遠い間合いでの戦闘に不利であることが知られている。
そのため、近接短打以外の技法を補完する目的で、劈掛掌(劈掛拳)や蟷螂拳などと併習して学ぶ系統も存在する。独特の震脚動作を伴う重心移動や体勢の急激な展開動作を行うことを主な攻撃力(勁力)の源とし、馬歩椿歩などの基本功(基礎訓練法)と、小八極という套路(型)で基礎的な実力を養成し、やがて大八極、六大開拳及び八大招式などの套路(型)で威力に実戦技法を加えるといわれる。
また八極拳は接近戦を重視する戦法をとる為、肘撃や靠撃(肩や背面部で敵を打ち付ける攻撃)など、近接での体当たり戦法的な技法も他派以上に重視される傾向にある。
花招(見せかけのみの技)が全くなく、質実純朴にしておおらかでさえあり、一道一式といわれ、簡潔であり、その各動作の目的は抗敵・応敵にしかない。美観を追求せず、ただ実用効果のみを求める武術でもある。
まとめ
定義は人それぞれなので難しいところではあるのですが、単なる俺TUEEE系ではないと思って頂けたでしょうか。
本作は格闘アクションとしても面白いですが、キャラクターたちが魅力的でちょっとした日常シーンも楽しく読めます。
また、現在ツヨシと互角に戦える強さをもったキャラクターがいないので、今後が楽しみでもあります。
2019年7月11日現在、サイコミでの連載は四拳勢編が終了したところです。
新章でどのような展開になるのかわかりませんが、ぜひ愛之助とツヨシには友達になってもらいたいなぁと思います。
四拳勢も仲間になって欲しいです。
ツヨシの強さの底がどこまでなのか。
作中で語られていたツヨシの一番嫌いなヤツとは?父親か?
シェンメイかわいい。など続きが気になる面白い漫画です。おススメ。
TSUYOSHI コミックス
作者:丸山恭右様
既刊2巻(2019年7月現在):続巻
掲載誌:サイコミ
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④「TSUYOSHI」をタップして読む。
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