麻衣の虫ぐらし -大自然と営む農業系ヒューマンドラマ-

まんがくらぶで連載されていた「麻衣の虫ぐらし」の感想です。

 

読む前は、少女たち(成人していますが)が虫と戯れながら、虫の生態を紹介しつつキャッキャウフフする漫画、なイメージでした。

確かにそのような場面もありますし、百合的な要素もあります。

しかし読んで見た結果、いい意味で期待は裏切られました。

家族愛、家族との別れ、独特の空気感・・・。

 

面白かったので、買うつもりはなかった特別編や未収録作品集も買いました。

とても魅力のある作品です。

作者:雨がっぱ少女群様 出版社: 竹書房 (2017/10/27)

麻衣の虫ぐらし あらすじ

 

桜乃麻衣は入社1年目にしてリストラされ現在求職中の20歳。

就活がうまくいかず明日をも知れぬ身である。

 

友人の菜々子の営む農園を手伝い、来夏と美津羽の湿原の保護活動に参加する。

自然と共に暮らす麻衣の周りには常に虫の姿がある。

 

自然と人の営み、隣人である虫と暮らす農業系ヒューマンドラマ。

麻衣の虫ぐらし キャラクター

 

桜乃麻衣

入社一年目でリストラされ現在無職。

就活をしているがうまくいかず、お祈りされ続けている。

友人の菜々子の畑の手伝いをして野菜を貰って生活している他、地中海料理店「ボルボレータ」で毎週土日の夜に歌を歌うアルバイトをしている。

料理店ではファンクラブができるほどの人気があり、麻衣目当ての客も多い。

 

清水菜々子

両親に捨てられ、現在は祖父と二人暮らし。

祖父が営んでいる農園を手伝っていたが、その祖父が余命宣告を受け働くことができなくなったため、現在は菜々子一人で畑を守っている。

「ボルボレータ」に野菜を納めていたことが麻衣と知り合うキッカケとなる。

麻衣の歌う姿に感動し、麻衣ファンクラブに入る。

 

須藤来夏

ヒメギフチョウを守る会、通称「姫を守る会」及び、湿原保護クラブに参加する老舗旅館の娘。

自然や虫の保護活動に人手が足りないため、麻衣たちを誘う。

菜々子と同じく麻衣の歌を聞いて感激し、麻衣ファンクラブに入る。

 

岩倉美津羽

湿原保護クラブで活動する来夏の友人。

虫を呼び寄せることができる特技があり、尚且つ天候を操る手品(?)ができる。

麻衣の虫ぐらし 感想

 

序盤はまったりゆったり自然と共に暮らす麻衣たちの姿が描かれています。

その後、麻衣や菜々子の事情が明らかになり胸を痛め、ラストで百合展開となります。

百合とはいってもそこまで濃いものではないので苦手な人でも安心です。

 

自然や虫の生態などに心地よさを感じ、おじいさんと菜々子に涙し、麻衣と菜々子に癒される。

なんとも形容しがたい良い雰囲気の漫画です。

綺麗な絵柄・かわいい女性キャラクター

素直に絵柄が綺麗だなぁ、と感じる作品です。

人物だけでなく、自然や虫なども綺麗で、匂いや温度も伝わってくるような気がします。

絵に関して私は完全な素人ですが、見やすいし女性はかわいいと思います。

若い男性や年配の男性、女性も登場しますが、皆とても綺麗です。

 

色々登場するキャラクターの中で、特に麻衣が好きな人が多そうな気がします。

元アイドルというルックス、綺麗なロングヘア、気取らない性格。

素晴らしいです。

 

個人的にはepisode03 「クロナガアリ」で麻衣が半纏にジャージ姿でコンビニに買い物に行くシーンが、とても好きです。

半纏を着ている女性が好きというのはあまり聞かない、というよりまったく聞いたことがありませんが、私は半纏女子が大好きなのです。

 

妙に着飾った格好より普段着のほうが好きな人なら理解していただけると思います。

半纏というのは部屋着です。

いってもコンビニに買い物に行くくらいです。

そんな半纏が、気取らない性格の麻衣を象徴しているようで、私にとってはとても魅力的に見えるのです。

 

また、帽子女子も好きです。

キャスケット女子など最高です。

この作品では、菜々子がキャスケットではありませんがよく帽子をかぶっています。

麻衣と比べると幼くみえる菜々子ですが、しっかり成人しております。

高校卒業と同時におじいさんの農園を手伝い2年が経過しているとの描写があります。

軽トラを運転している姿はなんだか子供が運転しているのを見ているような不思議な感覚ですが。

本作のテーマ

本作のテーマとして虫の生態などの蘊蓄があると思います。

しかし個人的にはメインのテーマはあくまでも人の営みなのだ考えます。

菜々子は農業を営んでいますし、来夏は自然保護の活動を行っている関係上、虫は切っても切り離せない関係です。

そのため、虫の生態などの話もとても自然にストーリーに溶け込んでいると感じます。

 

物語の舞台は、自然が豊かで山や川に囲まれた美しい場所です。

当初は冬から始まった物語が春を迎え、そして夏、秋へと移り変わる。

そして、人との出会いや別れがあり。

 

一言でいうと、自然との共生という印象でしょうか。

人の営みも自然の一部ととらえることもできますが。

人の儚さ

菜々子は両親に捨てられ、おじいさんと二人暮らしです。

たった一人の心の支えでもあるおじいさんは深刻な病気に侵されており、入院しています。

冬から始まった物語が夏を迎えるころ、おじいさんは退院します。

病気が治ったわけではないのですが・・・。

 

泣きました。

私は元々涙もろいので、こういう話に弱いのです。

 

おじいさんは日に日に衰えていきますが、時折亡き妻との思い出が描写されます。

若い頃のおじいさんの話です。

妻と道を通ったときの話など、なにげない場面の思い出なのですが、すごく心に響きます。

特に印象に残っているのが、おじいさんがかぶっている帽子と思い出の中の亡き妻と一緒にいる若い頃のおじいさんの帽子が同じものだということでした。

大切にしているんだなぁ、と目頭が熱くなります。

 

このときのおじいさんの帽子は、カンカン帽という帽子です。

Wikipediaに乗っている写真が正におじいさんの帽子に近いものです。

最近は若い女性に流行っているようですね。

 

この他にも、たくさんのおじいさんの思い出が穏やかに描かれています。

儚い、けど尊い。

そして、なぜだか優しい気持ちになれる。

自分がこんな最期を迎えられるのかなぁ、と考えさせられます。

独特の空気感

湧き水を湛えた淵は深く潜るほどに冷たく透き通り

すぐ目の前を小魚がキラキラと過ぎていく。

何十年経っても忘れられない光景です。

出典:麻衣の虫ぐらし 1巻 episode07 ヤマトシミ

退院したおじいさんが麻衣と菜々子に山向こうの淵を紹介したときの場面です。

このような子供時代を過ごしたかったと思いました。

想像すると水の冷たさまで伝わってくるようだ、と麻衣も言っていましたがその通りだと思います。

 

おじいさんは過去の思い出に生き、麻衣たちは未来を思う。

まるで緊張と緩和のコントラストのようです。

おじいさんの話で涙し、麻衣たちの生活でほんわかとします。

 

そして水と自然の清涼感。

土と太陽の匂い。

そんな雰囲気が感じられる作品だと思います。

登場する虫

作中で登場する虫をいくつか紹介します。

虫画像注意 右の「+」をクリックで開きます。
episode4  ヒメギフチョウ
多数の自治体で天然記念物などの文化財に指定されている。
作中では来夏が「姫を守る会」でヒメギフチョウの保護活動を行っている。
episode6 クビキリギス
口が赤いことから血吸いバッタと呼ばれ、噛まれたら死ぬという都市伝説がある。
作中ではボルボレータ料理人の小倉が麻衣に告白しようとしてクビキリギスに噛まれる。
episode13 ヘイケボタル
作中では菜々子のおじいさんの亡き妻との思い出の中に登場する。

日本では、ゲンジボタルと並んで、身近な光るホタルである。ゲンジボタルより小型で、より汚れた水域にも生息する。
ゲンジボタルが日本固有種なのに対し、東シベリアや朝鮮半島などにも分布する。
また、ゲンジボタル、クメジマボタルと並んで幼虫が水中棲息するホタルであり、日本産水生ホタル3種の中では最も小型である。
出典:Wikipedia ヘイケボタル

episode21 タガメ
日本最大の水棲昆虫。
肉食性で魚やカエルなどを捕食する。
作中では来夏と美津羽の子供の頃の話に登場する。

 

まとめ

穏やかな気分になりたい人、コメディタッチなヒューマンドラマが好きな人におすすめです。

前半はコメディ寄りの百合、後半はガチ目な百合があるので百合好きも楽しめると思います。

そして、おじいさんの話はジンワリと心に残ります。

「おじいさんと孫」に弱い人には直撃でしょう。

 

コメディ感も強くかわいい女子も多いので、きらら系4コマのような作品が好きな人にも受け入れられると思います。

 

ヒューマンドラマ、コメディ、百合などと紹介しましたが、特別編は作品の質がガラっと変わります。

詳しくは書きませんが、不思議系・オカルト系の色が強くなります。

本編の「episode21 タガメ」とリンクしているので読んで見ることをおすすめします。

 

また、ちょっとした情報として書いておきます。

作者様のTwitterで、実は菜々子の父親が違法な植物の栽培により収監されたというストーリーになる予定だったとありました。

ファミリー誌なのでNGになったそうですが、もし通っていたらその後の展開が大きく変わっていたとのこと。

NGになった結果、父親は愛人を作って出て行ったという流れになりましたが予定通りならどのような結末になったのか。

そちらの結末も見て見たかった気がします。

麻衣の虫ぐらし コミックス

 

作者:雨がっぱ少女群 様

全2巻+未収録作品集+特別編:完結

掲載誌:まんがくらぶ

作者様作品リスト

  • 怖い心理テスト あなたの中のサイコパス (2015年)
  • 麻衣の虫ぐらし (2017年~2019年)
  • ひとりかごめ (2019年)

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※2019年8月13日現在
アプリをインストール後、右上の虫メガネマークよりタイトルで検索

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