熊というと「くまのプーさん」や「テディベア」「リラックマ」などを思い浮かべます。
漫画でいうと「くまみこ」のナツなど。
かわいいイメージをもつ人が多いのではないでしょうか。
ただ、最近は「ゴールデンカムイ」の影響でそうではない人もいるかもしれません。
この作品は映画の「ジョーズ」を代表として数多くあるアニマルパニックと呼ばれるジャンルです。
ヒグマが襲い掛かってくるという日本でも実際に起こりうるリアルな恐怖、また捕食される原初の恐怖を呼びおこされるものです。
かなりグロい描写もあるので苦手な人は覚悟を決めて見たほうがいいかもしれません。
シャトゥーン ~ヒグマの森~ あらすじ
12月31日 北海道北端に広がる大森林。
年末を天塩研究小屋で働く双子の兄と過ごそうと車を走らせる主人公「薫」たち一行。
その道中、雪の中倒れている人影を発見するも、雪道にタイヤをとられスリップ事故を起こしてしまう。
幸いにも怪我人はでなかったものの、車は横転し動かすことができなくなってしまう。
倒れている人影の様子をみる薫。
しかし、その人物はバラバラとなって死亡していたのだった。
死体の周りには仔連れのヒグマの足跡が残っている。
それは冬ごもりに失敗した「シャトゥーン」と呼ばれる危険なヒグマだった。
シャトゥーンとは
シャトゥーンとはアイヌ語で「穴もたず」のこと。
冬眠に失敗し雪山を徘徊するが、食料がないため飢えており狂暴化する。
空腹のため次第に家畜を襲いはじめ、ついには人を襲うようになる。
人間の弱さと人肉の味を知った熊の個体は人間を獲物と認識するようになる。
その中でも仔連れのヒグマは最も危険と言われている。
シャトゥーン ~ヒグマの森~ 感想
友人が迎えに来る1月6日までの一週間を生き延びることがとりあえずの目標となります。
ケイタイの電波も電気も通っていないプレハブが舞台です。
車もなく、大雪による極度の低温により移動手段も通信手段も絶たれた完全に孤立した状態で「シャトゥーン」の物語は進んでいきます。
ミステリ用語でいうクローズドサークルの状態です。
「プレハブだが寒冷地仕様で壁は厚い」と作中で言っていますが、ヒグマの破壊力の前にはプレハブという言葉があまりに頼りなく、より恐怖が増しています。
そもそも一週間も小屋が持つのか。次の瞬間にはクマが飛び込んでくるのではないか。
当然、窓を破られヒグマに中に侵入されれば全員が殺されます。しかもマイナス数十度のヒグマのテリトリーである外には逃げられません。
さらに強力な武器もないこれ以上ないといっていい絶望感です。
そんな状況で恐怖に襲われたときに人間の心の弱さ、逆に立ち向かう強さにドラマを感じ感情移入していってしまいます。
そして、人にはどうしようもできない圧倒的な力を持つヒグマの神出鬼没な登場に、漫画をみているだけのこちらも震えるほど物語に引き込まれていきます。
主人公の薫は娘の美々を守ろうと必死に生き残る道を探します。
唯一ヒグマに勝る武器、それは動物学研究者である知識のみです。
しかし、知識はあれどヒグマに襲われればひとたまりもありません。
心が生きることを諦めてしまう前に、逃げ延びることができるでしょうか。
生き残るのは人かヒグマか。ヒグマとの決着はどうなるのか。
結末は人に聞いたりネタバレを読むより自分自身で確かめてください。
アニマルパニックものが好きな人は後悔しないと思います。
ヒグマの習性
ここで作中に登場するヒグマの習性について記しておきたいとおもいます。
※作品の中のヒグマの習性です。
- 火を恐れない
- 獲物を土に埋めて何回かにわけて食べる
- 時速80キロで走る
- 木に登るのがうまい
- 体重300キロ以上
- 獲物への執着心が強い
- 止め足、バックトラックを使う
- 毛皮が固く包丁程度の刃物は通らない
- クマ撃退用唐辛子スプレーは有効
- 捕食中であろうと逃げるものを追うことを優先する
また、ヒグマによる日本最大のクマによる獣害事件「三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)」のリンクを貼っておきます。
興味のある方はどうぞ。
ショッキング注意
wikipediaより
これをみると、作品の中のヒグマと実際のヒグマにかなりの共通点があることがわかります。
ヒグマは日本では北海道のみに生息しているそうです。
しかし、北海道にしか住んでいないからといって、他地方に住む人たちも安心はできません。
ヒグマよりは小型ですが、ツキノワグマは東北、中部、関東、近畿、中国地方、そして四国の一部には生息しているそうです。
そして、最近でもツキノワグマによる被害は発生しているのです。
十和利山熊襲撃事件(とわりやま くましゅうげきじけん) 平成28年
熊のテリトリーに入らないことが一番ですが、命を守るために、万が一遭遇してしまった時の正しい知識は身につけておきたいものです。
作品の中の主人公と同様、人間が野生動物に勝るものは知識しかないのですから。
シャトゥーン ~ヒグマの森~ コミックス情報
原作:増田 俊也 様
作画:奥谷 通教 様
全3巻 完結
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※3話まででショッキングシーンあり注意
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